猫の遺伝子検査で分かること❘遺伝子疾患の種類や費用【最先端】

犬・猫

遺伝子検査から将来かかりやすい病気やアレルギーなどが分かるようになりましたが、人だけではなく、猫や犬にも遺伝子検査から将来かかりやすい病気が分かるようになりました。

実際の動物医療においてもさまざまな場面で活用されている遺伝子検査。

今回は猫の遺伝子検査から何がわかり、どう役に立つのか?

わかる疾患の種類や、またそれにかかる費用などを調べましたのでご覧ください。

遺伝子検査でわかること

定期検診ではわからない将来の病気のリスクが、分かります。

猫種によって検査しておいた方が良い病種がありますので、愛猫の将来のために検査することをおすすめします。

わかる疾患の種類

※クリックで詳細が表示されます。

多発性嚢胞腎(PKD)

腎臓に嚢胞(のうほう:液体を貯めこんだ球状の袋)ができてしまう疾患。

概要
通常は無症状ですが、病気が進行すると嚢胞が次第に増加し、正常な腎臓組織を圧迫してしまい、最終的には腎不全を起こしてしまいます。嚢胞は腎臓だけでなく肝臓、子宮など他の臓器にも見られる場合もあります。

予防と対策
本疾患に対する根治的な治療法はありません。発症リスクが高い猫は定期的に健康診断(特に腎臓の画像検査)を行い、病気が進行しないか確認してください。腎不全になってしまった場合は、点滴や食餌療法などにより対症療法を行います

遺伝性骨軟骨異形成症

手足や尻尾、あるいは背骨に骨瘤(こつりゅう:骨が増殖して瘤(こぶ)の状態になったもの)が発生し、骨が変形してしまう疾患。

概要
軽症な場合は無症状ですが、骨の変形が重度になると関節炎を起こし、痛みや跛行(はこう)といった臨床症状を示します。また、背骨に骨瘤が生じた場合には脊髄を圧迫し、不全麻痺を起こす場合があります。スコティッシュフォールド特有の折れ耳の形質との関連が示唆されており、折れ耳の程度が強い猫は本疾患を発生しやすいと言われています。

予防と対策
本疾患に対する有効な治療法はありません。激しい運動は控えさせ、室内の段差を少なくするなど足への負担を減らす環境を整えてください。痛みなどの症状が出た場合には消炎鎮痛剤を使用し、痛みと炎症を緩和します。

ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)

ピルビン酸キナーゼと呼ばれる、赤血球のエネルギー代謝に重要な酵素が欠損してしまう疾患。

概要
通常の猫に比べて血液中の赤血球の寿命が極端に短いため、持続的な貧血を呈します。貧血は生後2~3ヶ月以降から現れはじめ、運動への不耐性や口の粘膜が蒼白になるなど、典型的な貧血の症状を示します。

予防と対策
本疾患に対する有効な治療法はありません。輸血や酸素化などによって貧血や呼吸状態を緩和することができますが、これらは対症療法であり、完治が期待できる治療法ではありません。

肥大型心筋症(HCM)

肥大型心筋症は猫で最も発生頻度の高い心臓病です。

概要
外観上大きな異常は見られず、症状も無症状な場合が多いですが、心臟の壁が肥厚し、心機能が徐々に低下します。心機能低下によって血栓症が生じるリスクが高く、血栓が末梢の動脈に詰まることで突然後肢が麻痺したり、腎不全に陥る場合もあります。心筋症が重症化すると元気や食欲がなくなり、全身循環の低下によって呼吸困難やチアノーゼ(血液の中の酸素が欠乏して、皮膚や粘膜が青黒くなること)を呈し、次第に腹水や胸水もたまり始め、注意が必要になります。

予防と対策
本疾患に対する根治的な治療法はありません。発症リスクが高い猫は定期的に健康診断(特に心臟の画像検査)を受診してください。発症した場合は内科療法により病気の進行を抑え、心不全になるまでの時間を延ばす、あるいは心不全の症状を和らげることを目標にします。病気がある程度進行すると血栓が出来やすくなるため、血栓の予防薬も使用します。

進行性網膜萎縮症(PRA)

眼の奥にある網膜が変性・萎縮してしまう病気です。

概要
通常生後1歳半~2歳頃より視力が低下しはじめます。初期の頃は夕方から夜間の視力が低下しますが、徐々に日中の視力も低下し始め、最終的には失明してしまいます。網膜が変性すると水晶体の変性も起きるため、白内障も起こりやすくなります。

予防と対策
病気の進行を抑えることはできませんが、徐々に進行するため、猫自身も視力低下を認識し、自分の室内環境や散歩コースを覚えます。飼い主としては、猫の覚えた生活環境をできるだけ変化させずに生活させてあげることで、不慮の事故を未然に防いでください。

GM2ガングリオシドーシス

ライソゾーム病※1の一種で、致死性の神経疾患です。

概要
国内では日本猫で発生が報告されています。生後しばらくは明らかな症状はありませんが、生後2ヶ月頃から神経症状が出始めます。典型的な症状として振戦(しんせん:ふるえ)、小脳性の運動失調、眼振などの神経症状がみられます。症状は急激に進行し、生後7ヶ月頃には意識障害や昏睡状態に陥り、生後1年以内に死んでしまいます。

予防と対策
現在のところ、根治的な治療法はありません。

ムコ多糖症

ライソゾーム病※1の一種で、ムコ多糖を分解する遺伝子に変異があるため、全身臓器(骨、軟骨、角膜、心臓など)にムコ多糖が蓄積します。

概要
顔面の骨の形成異常により、ガーゴイリズムと呼ばれる特徴的な顔貌(鼻が低く平坦で耳が小さい)が見られます。関節の運動機能異常のほか、背骨の形態異常により脊髄が圧迫され、後肢麻痺などの神経症状がでることもあります。その他、角膜混濁による視覚障害、心臓弁膜症、肝腫、脾腫といった様々な症状が現れます。

予防と対策
他のライソゾーム病と比べて症状の進行は緩徐ですが、現在のところ、本疾患に対する根治的な治療法はありません。

先天性ミオパチー(筋ジストロフィー)

筋肉が萎縮してしまう病気。

概要
生後1年以内に運動してもすぐに疲れるなどの初期症状がはじまり、飛び上がれない、歩行異常などの症状が徐々に現れます。首の筋肉が萎縮し頭を持ち上げるのが困難になってしまうと「チップムンク」と呼ばれる、後ろ足で立ち上がるような姿勢をとるようになります。致死的な疾患で、多くの場合生後2年以内に誤嚥性肺炎を発症し、死んでしまいます。

予防と対策
現在のところ、本疾患に対する根治的な治療法はありません。症状が進行すると食べ物を飲み込む力が弱くなり、誤嚥のリスクが非常に高くなってしまいます。少しでも寿命を伸ばすためには、立位で食餌を与える、胃チューブで栄養管理を行うなどで、誤嚥性肺炎の発症を予防してください。

オリゴ糖蓄積症(α-マンノシドーシス)

ライソゾーム病※1の一種で、致死性の全身性疾患です。

概要
小脳性の運動失調、振戦、眼振といった様々な重篤な神経症状を示すほか、成長遅延や顔貌異常もみられます。症状は重篤で、通常は生後6ヶ月以内に死んでしまいます。

予防と対策
現在のところ、根治的な治療法はありません。

※1ライソゾーム病とは…
古くなった細胞を分解する場所が細胞の中にあるライソゾームというところです。したがって、ライソゾームの中には数多くの分解酵素が存在しています。この分解酵素の一つが先天的に欠損しているために起こる病気がライソゾーム病です。

猫種別によってかかりやすい疾患がある

猫種によってかかりやすい病気というのがあって、例えば「遺伝性骨軟骨異形成症」はスコティッシュフォールドに多くみられ、ムコ多糖症はシャム、オリゴ糖蓄積症はペルシャ、といったように猫種ごとに違いがあります。

猫種別「獣医師おすすめの検査項目」一覧表

獣医師がすすめる猫種別の検査項目です。

人気の猫種

猫種 検査項目
スコティッシュ・フォールド ・多発性嚢胞腎(PKD)
・遺伝性骨軟骨異形成症
アメリカン・ショートヘア ・多発性嚢胞腎(PKD)
マンチカン ・多発性嚢胞腎(PKD)
ブリティッシュ・ショートヘア ・多発性嚢胞腎(PKD)
ノルウェージャン・フォレスト・キャット ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
ベンガル ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
ラグドール ・肥大型心筋症(HCM)
・多発性嚢胞腎(PKD)
ロシアンブルー ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
メイン・クーン ・肥大型心筋症(HCM)
・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)

その他の猫種(五十音順)

猫種 検査項目
アビシニアン ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
・進行性網膜萎縮症(PRA)
アメリカン・カール ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
エキゾチック・ショートヘア ・多発性嚢胞腎(PKD)
エキゾチック・ロングヘア ・多発性嚢胞腎(PKD)
エジプシャン・マウ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
オシキャット ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
オリエンタル ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
キンカロー ・多発性嚢胞腎(PKD)
コーニッシュ・レックス ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
コラット ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
・GM2ガングリオシドーシス
サイベリアン・フォレスト・キャット ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
シャム(サイアミーズ) ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
・ムコ多糖症
・進行性網膜萎縮症(PRA)
シャルトリュー ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
シンガプーラ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
スクーカム ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
スフィンクス ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
セルカーク・レックス ・多発性嚢胞腎(PKD)
ソマリ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
デボン・レックス ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
・先天性ミオパチー(筋ジストロフィー)
トンキニーズ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
バーマン ・多発性嚢胞腎(PKD)
バーミーズ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
・GM2ガングリオシドーシス
バンビーノ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
ヒマラヤン ・多発性嚢胞腎(PKD)
ブリティッシュ・ロングヘア ・多発性嚢胞腎(PKD)
ペルシャ ・多発性嚢胞腎(PKD)
・オリゴ糖蓄積症(α-マンノシドーシス)
・進行性網膜萎縮症(PRA)
ボンベイ ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
ミニュエット ・多発性嚢胞腎(PKD)
ラ・パーム ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)
ラガマフィン ・多発性嚢胞腎(PKD)
ラムキン ・ピルビン酸キナーゼ欠損症(PK欠損症)

遺伝子検査にかかる費用

基本的に検査費用は1項目調べるのにいくら、という料金体制のところがほとんどです。

5個も6個も調べるとなると大変費用がかかってしまいます。

ですから、”猫種別「獣医師おすすめの検査項目」一覧表“に載っている項目だけ検査しておけば多くても3項目ですので、全部調べる必要はありません。

遺伝子検査『3社』料金比較

料金比較表 【Orivet】 【Pontely】 【VEQTA】
単検査価格
(報告書代込み)
5,700円 5,000円 5,000円
検査項目追加料金 4,300円 1つ追加 4,800円
2つ追加 4,200円
4,500円
2項目検査 10,000円 9,800円 9,500円
3項目検査 14,300円 14,000円 14,000円
WEBサービス
検査結果 約1か月 約2週間 約2週間

※表示価格はすべて税別価格です

WEBサービス

3社比較でWEBサービスがあるのが”Pontely”のみ。

他2社はメールか紙の報告書で、価格に差がないのなら”Pontely”がいいですかね。

上の画像のような検査結果証がWEBで確認できます。
(これは犬ですけどね;;)

Pontely(ポンテリー)が簡単でおすすめ

WEBサービス以外にもPontelyがおすすめなところがあって、それは注文方法が簡単で分かりやすいという点。

猫種を選択するだけで、おすすめの検査項目が表示されるので、迷うことなく注文できます。

ほかのところはね、なんかごちゃごちゃしてて分かりにくかったです。

\\公式サイトへはこちらからどうぞ//

遺伝子検査がどう役に立つのか

どう役に立つのかと聞かれたら、正直わかったところで、今すぐどうにかできるものではないと思います。ただ将来的にも日常生活の中でもネコちゃんと接するときに予め注意すればいい点がわかっていれば、異変にも早く気付くことができて対処できると、私は思います。

将来潜んでいる愛猫の疾患を事前に調べておくことで、健康に長生きしてもらいたいですね。

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